2026 年
6月 水無月
June
鳥獣草木の声は、すべて仏さまのお言葉であり、極楽の世界は本来、私たちの胸の内に具わっている。という意味です。お大師さまがお生まれになられた四国は、自然が豊かなところです。若かりしころ四国巡礼の道中、山中をひとり歩いていると、ふと心細くなった瞬間が幾度も来ましたが手にした金剛杖が不思議と頼もしく感じられました。「同行二人」お大師さまと共に歩んでいるかのような安心を覚えました。高知の海岸線を歩けば、空と海しかない広い地平線が数日間続く。自然の雄大さに自分がちっぽけに思えてくる。切り立った岩場を鎖にすがり登る時には、苦しさの中に今このいのちが「生かされている」と実感し深い感謝が自然と湧き起こる。
鳥のさえずりは法の音として響き、降る雨は法の恵みとして地を潤す。あらゆる現象はすべて、大日如来の働きである。そこに善悪の分別はなく、ただ大いなるいのちの中に現れているだけである。
極楽浄土は、はるか彼方に求めるものではなくて、もともと私たち一人ひとりの内に仏性として具わっています。日々の生活の中に浄土を見出し、謙虚に生活することが大切ではないでしょうか。
東京宗務支所 真照寺 堀井隆淳