2021 年
7月 文月
July
「四種の口業は舌に任せて斧を作り 三箇の意過は心縦にして自ら毒たり」
人は欲望の達成の為に嘘でたらめを吹聴し、飾り立てた言葉でだまし、悪口で貶め、仲を引き裂き争いを起こすことがあります。これらの悪い言葉は、斧を作って自他を傷つける為に振るうようなもの。更に、財や食を貪って他に分け与えず(貪)、思うとおりにならないと恫喝し怒り、恨む(瞋)。そうした自分の悪行が苦しみを生む原因であると理解しない(痴)のは、貪・瞋・痴という毒を服するに等しいと弘法大師は説いておられます。
自他を傷つける言葉の斧や三つの毒が自信に溢れていないかを見つめる言葉です。言葉の斧を作らず毒を飲まない為にも、御仏の前に合掌礼拝し、心を調え、ご真言を唱えて皆の幸せを願うのが大切です。世の中は天秤のようです。自分だけが快適ならば他は知らないという人が増えれば、そのような世の中に傾きます。
我が事の様に他人の幸せを願い、喜ぶ人が増えたなら、そのような家庭や世の中に成ることでしょう。自らの心の在り方と行動は世の中や人生を作っていくのです。
神奈川 東観寺 野村俊明