2020 年
8月 葉月
August
「糸」
縦の糸はあなた 横の糸は私
有名な中島みゆきさんの「糸」という歌の一説です。
「重々(じゅうじゅう)帝網(たいもう)」という言葉をご存知でしょうか。お大師様のお書きになられた書物の中にも登場する言葉ですが、『華厳経』というお経の思想ともいえる言葉です。
帝釈天という仏さまのお住まいになる宮殿には縦横無尽に糸が張り巡らされており、まるで網の目になっています。その重なり目に宝石の玉「珠玉」がつけられ、その珠玉が幾重にも反射して互いを映しあっている様子を表しています。
これは私たちの世界に重なります。
私たちは目に見えない「ご縁」という「糸」でつながっています。ご先祖様からのご縁。今、共に過ごしている人のご縁。色々なご縁の糸が交錯し、まさに網の目の様に張り巡らされています。そして、そのご縁の重なり目に私たちは行かされています。
私たちは互いに影響しあい、この世界を彩っているのです。
その幸せに手を合わせて祈ることが、供養の姿なのではないでしょうか。
佛法紹隆寺 岩崎宥全