2019 年
11月 霜月
November
「衆生の恩」
一切の生物は、大自然から様々な恩恵を受けて育まれております。一年を通しておいしいものを食することが出来るのも、秋に農作物が豊かな恵みをもたらしてくれるのも、この大いなる恩恵のおかげです。
私たちが毎日主食としているお米にしても、春の苗作りから、秋の収穫、さらに食卓に上がるまで、農家さんはじめ、お米作りの仕事に携わっている大勢の方の手間と苦労のおかげでありまた、太陽の光、雨水、土などの自然の恵みによってお米をいただくことが出来るのです。
お大師様のお言葉に「一切の男子は是れ我が父、一切の女人は是れ我が母、一切の衆生は皆是れ吾が二親、師君なり、所以に衆生の恩も亦(また)須(すべから)く報酬すべし。」とあります。
現代の便利な世の中では、自分ひとりの力で生きていけると思いがちですが、私たち人間をはじめ,この世に存在するあらゆる生物は、お互いに深いつながりによって結ばれており、必ず知らないところで、互いに様々な形で恩恵を受け、支えられて生かされています。
私達も、思いやりの心を持っていのちあるものの恩に報いていきたいものです。
長野 高徳寺 古橋秀紀