2020 年
5月 皐月
May
「つながるいのち」
お寺には大きな桜の木が一本あります。
万回に咲き誇る花のいのちはごくわずかであり、儚さを覚えずにはいられません。しかし桜の木はまた同じように花の命をはぐくみ続けます。巡り来る悠久の大自然のいのちにとって人のいのちはほんの一瞬の出来事なのでしょう。
今の私たちは大自然を抱くこの地球や地球を抱く宇宙にはどのように映るのでしょうか。あらゆるエネルギーを好きなだけ消費し続け、無駄にあらゆるいのちを奪い合う。もしかしたら現世界を取り巻く新型ウイルスのような存在に近いのかもしれません。
今も桜の木が静かに散っています。
私たち人間の手で、大自然・地球・そして宇宙を壊すことは、人が自らいのちを痛めつけてることと同じです。
「この世のありとあらゆるものは皆つながり関連しあっています。大自然も人々も今を生きる中でその命を認め合えるのが仏の世界です」と、お大師様は著書「即身成仏義」の中で説かれました。
慈しみの心を持ち、誰しもがその仏の心に気が付くことで、この度の人類の危機を乗り越える事をお大師様は願われているでしょう。
群馬 西光寺 佐藤心憧