お寺からのメッセージ

2021

8葉月

August

「立体曼荼羅」

ここ数年は、様々な技術が急速に発達しており、中でも映像技術は驚くべき進化を遂げております。超高精細な4K映像、立体映像を投影するプロジェクションマッピング、実在する風景にCG映像を乗せるAR(拡張現実)。これらの技術は我々を便利に新たな世界に導いてくれます。

かつてのお大師様も、唐へ渡り真言密教を学んだ際、「この教えは文字や言葉だけでは伝えきれない」とお考えになり、経典以外にも多くの仏像や曼荼羅、仏画、法具を不況の為に唐から日本へ持ち帰りました。

従来の文字や言葉だけの布教と違い、曼荼羅や仏像は密教の教えを誰にでもわかりやすく細やかに表現し、京都の東寺に作られた「立体曼荼羅」、高野山内の「壇上伽藍」は、夢や幻ではなく我々が住む「現実世界」に仏様の世界を作り出しました。これらの布教方法は、当時の衆生に大きな衝撃と感動をもたらしました。

大袈裟過ぎるかもしれませんが、我々の生活を進化させる最新の映像技術の根本は、お大師様が千年以上前に確立した布教の方法なのかもしれません。

 

相模 廣徳寺 板坂隆光