お寺からのメッセージ

2019

10神無月

October

「物の興廃は必ず人に由る 人の昇沈は定めて道に在り」

「どんな事柄であっても、繁栄するか否かは必ず、それに関わる人に関係する。関わる人の振る舞いによって結果が変わってくる。」といった意味です。

お大師様の綜芸種智院開設のコンセプトも、そこにあったのではないのでしょうか。単なるエリート官僚養成というのではなく、豊かな人間性をもった人材の育成を目指したものです。

「啐啄同時」と言いますが、教育現場において教師が情熱をもって生徒に向き合い、生徒は向学心を持って教師に対峙した時、真の学問が開くものです。お大師様と弟子たちが学び舎において火花を散らして学問を展開している様子が目に浮かびます。

それにしても金銭的事情で庶民教育が頓挫してしまったのは、返す返すも残念でなりません。

昨今の社会状況を見ていると考えさせられることが山積みしています。国家も社会も栄枯盛衰はまさに人にかかっています。何をするにせよ、お互いのことを考え合い、支え合い、助け合うことによってこそ成果が導き出せるのです。

 

高野山高校 校長 小野芳幸