お寺からのメッセージ

2020

12師走

December

「父母の恩」

皆さまは、くしゃみをした後、何かおまじないなど唱えるでしょうか。我が家では、くしゃみをすると祖母が「ひふみ、ひふみ」とおまじないを唱えながら、右胸左胸を交互に三回さすってくれます。祖母も同じように地震の母親から唱えてもらっていたそうです。

古来日本では、くしゃみをすると鼻から魂が抜け、寿命が縮まると信じられ、寿命が縮まらないようにおまじないを唱えておりました。このようなくしゃみに対する考え方は日本特有ではなく諸外国にもあり、インターネットで調べると各国のおまじないを知ることができます。

私はこのおまじないを疎く感じていた時期がありました。しかし今、私自身が親になり、子供のことを思うと、どんな些細なことからも守りたい、幸せになってほしいと願っています。祖母も私を思い、おまじないを唱えていてくれたのだなと気付きました。

お大師様は父母の恩は「天よりも高く地よりも厚い。身を粉にし命を損しても何れの劫にか報いることを得ん」とお言葉を残しておられます。

祖母は今年の五月に亡くなりました。孝行はもう出来ませんが、祖母から頂いた愛情を自分の子供にも伝えていきたいと思います。

 

福島 真福寺別院 永崎亮学