お寺からのメッセージ

2023

7文月

July

「之を説き之を黙する、並びに佛意に契えり」

仏教には「機根(きこん)」という言葉があります。簡単に言えば理解力です。人格は器は皆異なるので、機根は一様ではありません。教えは、相手の機根に合わせて様々な伝わり方をするべきで、それはおのずと千差万別になります。つまり、正しいやり方はいくつもあるという事です。

さて、今日は、多様化社会であると一般に言われております。価値観を異にする人々が暮らす社会には、たった一つの正しい答えがあるものではなく、むしろ、多くの正しさがあるというべきでしょう。政治、思想、文化…。

にもかかわらず、なにか一つを選ばないといけない瞬間もまた、私たちに訪れます。例えば、選挙では一人の代表者しか選べないことがあります。そこで大切なことは、正しさについて考え続けることではないでしょうか。様々な答えがあり得るという事を忘れずに、歩んでいきたいものです。

 

東群馬支所 浄藏寺 藤井義教