2025 年
7月 文月
July
蓮を観じて自浄を知り、菓を見て心得を覚る
「蓮を観じて自浄を知り、菓を見て心得を覚る」という言葉がお大師さまのお言葉にございます。蓮という植物は泥の中に生えていながらも、その泥の汚れを付けずに美しい花を咲かせます。
私たちは普段の生活の中で煩悩という泥にまみれて生きているわけでございます。この泥の中では生きることが不安になったりするかもしれません。しかし私たちの心も蓮の様に煩悩の泥に染まることなく、誰もが本来は美しい蓮の花のように、清らかな心を持っているとお大師さまは蓮の花を見て感じられたのでしょう。
また「菓を見て心得を覚る」とありますように、蓮の実を見て心得、清らかな心を覚られたのでしょう。というのも普通の花は花が咲いてその後に実をつけるのに対して、蓮の花はまだ蕾の内から中に実を付けます。
このことから蓮は仏性に例えられます。仏性とは私たちが本来持っている仏さまの種。つまりは仏さまになれる可能性のことでございます。
すなわち私たちは本来清らかな心を持っていて、心の中には仏さまになる可能性を誰もが持って生きています。忙しい生活の中で立ち止まり、いま一度自分の中の蓮を感じてみてはいかがでしょう。
長野支所 泉福寺 青木裕泰