2019 年
8月 葉月
August
「五大に皆響あり 十界に言語を具す 六塵悉文字なり 法身は是れ實相なり」
私たち日本人は古来より、身近な動物、木や花、さらには海や川、空や雲などの大地自然のすべてのものの思いを感じとり、その声ならぬ声を聞き、それらと語り合ってきました。ときには自然の脅威や怒りを恐れ、崇敬の念さえ抱いてまいりました。
この様な感覚はアニミズムと呼ばれることがあり、原始的な信仰体系と思われているフシもありますが、果たして本当にそうなのでしょうか?むしろ素朴で素直で、きわめて豊かでピュアな感性、仏性のあらわれであるともかんがえられます。
お大師様は
五大に皆響あり
十界に言語を具す
六塵悉文字なり
法身は是れ實相なり
といわれ、この宇宙は大日如来の説法に満ちあふれている経典でもあるというのです。すべての存在は響き合い共鳴し合ってハーモニーを紡ぎだしているのです。
この音にならないハーモニーをきちんと心で聞き取るためには、単なる畏怖や讃仰の思いだけではなく、正しい理性と知性に裏打ちされた信仰を大切にし、それに基づいた謙虚な精進の姿勢というものがやはり欠かせません。
そして静かに五感を研ぎ澄ませて、宇宙が響かせている素晴らしい説法や音楽に心身をゆだねてみて下さい。
群馬 慈眼寺 橋爪良真