2019 年
5月 皐月
May
「我れ心を見るに形、月輪の如し」
かぐや姫が十五夜の月に昇天する竹取物語は誰もが知るおとぎ話です。現代の私たちも見事な名月を見ますとその澄んだ美しさに心を奪われます。太古の昔より月は人に無意識に働きかける不思議な存在でした。人の遺伝子レベルで満ち欠けが心身に影響すると組み込まれていますので月に思いを寄せることはごく自然なことなのです。心というものを形として表すならば月が一番当てはまるようです。
お大師様は「我れ心を見るに形、月輪の如し」(菩提心論)と述べられております。
新元号の令は令月として使われ、何をするにも良い月、めでたい月。という意味もございます。新たな時代を迎え正に令月、心正しく己を観察すれば自ら仏さまを観じることが出来ましょう。悠久なるいのちの根源を真言宗では大日如来と呼んでおります。穏やかにそして和やかに自信と向き合い、煩悩という雲に覆われていないか振り返ってみましょう。いつだって月はそこにあるのです。
相模 福寿院中 月見芳範