2018 年
9月 長月
September
「十界の有る所、これ我が心なり」
「施餓鬼」とは餓鬼道に堕ち苦しんでいる者たちに飲食を施すことですが、施餓鬼会では餓鬼の他に三界万霊、そして各家のご先祖様に対して供養が営まれます。
仏教で説く餓鬼とは生前の悪業の報いとして、死後冥界を流浪して渇望に苦しむ者たちを指しますが、現世においても私利私欲のために我欲を通す餓鬼の心を持った人たちが多いのも事実であります。
お大師様が「十界の有る所、これ我が心なり」、つまり心の中は地獄、餓鬼などから仏の世界の十の段階があるとおっしゃっています。我々は時には仏のような心でいるときも、またある時は餓鬼心が起こり、あとから思えば嫌気がさす場合もございます。
お盆の時期には、ご先祖様のみならず、餓鬼道に堕ちたもの、三界万霊、そして、自分の心に潜む餓鬼心にも施しを為すと思い、自分の中に仏心を満たしていきましょう。
福島 如来寺 安達照純