お寺からのメッセージ

2023

12師走

December

「重々帝網」

コロナ一律の自粛も終わり、お坊さんも集まる機会が増えました。そんな折話題になるのは「一日葬とか増えたよね」「テレビをつければ小さなお葬式と聞こえてくるし…」諸行無常を説く僧侶もぼやく変化です。

本来葬儀は弔いだけが目的ではなく、親族や友人関係者が、ゆっくりと故人に想いを馳せ、過去からのつながり、現在の立ち位置、これからの生き方を想い確認する場であります。お大師様の教えに「重々帝網(じゅうじゅうたいもう)」という言葉があります。この世界の有り様は、過去から現在、未来へ幾重にも重なる魚網の様で、その網目一つ一つの結び目に無数の宝珠がちりばめられ、個々に光を放ち互いを照らし共映している。その一つ一つの珠が私たちなのだとおっしゃられております。

まさに、葬儀は仏様のもとにかえられた故人様が、最初の仏様としてのお仕事として、大いなるのちの命のつながりの中あなたたちは生かされているのだよと教えてくださってるのではないでしょうか。

どうか多くの皆様にご参列いただき、じっくりと仏様の声に耳を傾けてください。

東京 室泉寺 佐々木隆之