お寺からのメッセージ

2022

7文月

July

「如来威神の力を離れぬれば十地の菩薩もその境界にあらず。いわんや生死の人をや。」

お檀家さんの小学四年生のお嬢さんが反抗期を迎え、反抗的な口をきくようになったそうです。必要な成長過程とはいえ、口うるさいお嬢さんに閉口していると相談を受けました。お寺に連れてこられてふてくされた顔のお嬢さんに、お大師様のおことばをお話ししました。

「どんなに偉い仏さまでも、たくさんの仏さまが互いに支えあっているからこそ、それぞれの力が発揮できるのですよ。ましてや人である私たちは、一人では生きていけないのですよ。チームスポーツでは「一人はみんなのために、皆は一人のために」という言葉がよくつかわれますが、仏さまの世界も小さなちーうがたくさん集まって一つのチームになっているのです。」

お檀家さんによれば、その後、家族や先生、仲間の大切さを実感し、父親以外には反抗的な態度はとらないようになったそうです。

コロナ禍の今、人と人とのかかわりは薄くなりがちですが、それでも私たちは支えあって生きています。どんな時も、それを忘れてはいけないと思うのです。

 

福島 冷泉慈 酒主伸明