2018 年
8月 葉月
August
「疑有れば請問し、打って芳音を聞け。」
梵鐘やお鈴は、打ち方の強弱によって、その音色も様々に聴こえます。あたかも、仏さまに向かい問いかけている者の、思いの深さによって、その答えに雲泥の差が現れることに似ています。
世間や他人と比べて、どれだけ理解できているかではありません、あなたの心が如何に穏やかに過ごせているかどうかが、仏様の授けて下さる小手江となります。
なのに、他人に勝てば刹那の優越感は得られるかもしれません。世間に求められれば、一時の高揚感に包まれるかもしれません。ですが、直に冷め、また、その快楽を求め争いを続ける人生となり、その感覚が癖になり、常習的にやめられなくなっていきます。
貴方の欲求は、本当にあなたの希望ですか、習慣になってはいませんか、考えもせずに、唯々貪っていませんか。
梵鐘やお鈴の音色は、強さではなく、心の穏やかさが芳音を導きます。割れてしまっては、二度と良い音は響きません。
意地をとおさなければならないことがあるとしても、それは、一生に一度か二度のものです。
相模 千手院 川上修詮