お寺からのメッセージ

2021

11霜月

November

「三密加持すれば速疾に顕る」

ここでの三密とは、仏教の三つの力のこと。動作による「身密」、言葉による「口密」、心による「意密」、この三つを合わせて「三密」といい、それらを私たちのために「顕す」修行のことを加持といいます。仏様とは悟りの境地に至り、この世のあらゆる苦しみから逃れた存在です。この身そのままで、苦から離れることが即身成仏であり、その修行について述べたお言葉です。

普段の忙しい暮らしがある中で、修行という浮世離れして感じます。しかし、日常の中でも、私たちは人と助け合い、穏やかに暮らすなど、大変なことも多い世の中を少しでも良くしようとすることこそ、日常でも取り組める修行です。「勝ち組」などという言葉がでてきて久しいですが、世の中の役割に貴賤はなく、そのような言葉を是とするのは、経済的に豊かでも、心が貧しいといえましょう。私たちが一所懸命に暮らし、今を肯定的にとらえることが、苦しみから離れることにつながると、しみじみ思います。

 

東群馬支所 浄蔵寺 藤生義教