2019 年
7月 文月
July
「生は是れ樂に非ず。衆苦の聚る所なり。死も亦喜ひに不ず。諸憂乍に逼る。」
生きることは楽ではない。沢山の苦が迫ってくるからである。死も亦喜びではない。諸々の心配事が起きてくるからである。の意。
近年「終活」という言葉が普通に使われるようになり「エンディングノート」というものも一般化している。それは自叙伝のようなものではなく、自分が亡きあと子供が困らないようにと記録に残しておくといった意味合いが強い。
先日、檀家さんが来て「終活をやろうと思って本とノートを買ってはみたのだけど書くべきことが多すぎるし、文章は下手だから諦めちゃった。」と。
その本にはここまで書けば子供が困ることはないだろうと沢山の項目があったが何かが足りないことに気付いた。そこには感謝の言葉がなかった。
それで「学校の宿題じゃないんだからノートに適当に思いつくままに箇条書きでかいて、最後の貢に息子と嫁の名前を書いて『色々あったけど結構楽しかったよ。ありがとう』と書いておけば満点ですよ。「それを見た息子たちは憂いなく心安らかに送ってくれますよ」と言ってお互いに笑いあった。それでいいと思う。
栃木 玉泉 関根正尊