お寺からのメッセージ

2024

3弥生

March

「刹塵の渤駄は吾が心の仏なり。海滴の金蓮はまた我が身なり。」

この文章を書かせていただいている現在は正月七日十一時三十七分、温かな日差しがお大師さんの慈悲に包まれているようで心地よく、安心と共に眠気を誘っています。さて、この原稿依頼を受けたのは昨年十二月。手を付けなければと思いながら年を越してしまいました。これは極端な変化を嫌うという人間の脳の機能に起因するのです。私が愚図な訳ではないのです。適者生存に則れば、その方が生存に有利だったのでしょう。しかし、この数年行動や生活が激変し、今も変化し続けています。

そんな脳に優しくない現代、メディアからはいやなニュースが流れ、身の回りの出来事でも何かとストレスを感じることかと存じます。お大師さんは「刹塵(せつじん)の渤駄(ぼっだ)は吾が心の仏なり。海滴(かいてき)の金蓮(こんれん)はまた我が身なり」ととおっしゃられています。「自らの心の中にたくさんの仏様がいる。そのすべてが自分自身である」という意味です。手を合わせ、心を落ち着けて顧みれば、世間の・他人の・自分の中に存在する無数の仏様に気づかれると思います。どうぞ祈り・感謝とともに安心の日々を送っていただければと思います。

 

神奈川 蓮花院 杉本永光